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私が彼の愛から逃げ出すなんて、そんな事できるはずがないのに。
ひー君は私の存在を確かめるように、長い腕を私の身体に巻きつける。
「勝手にいなくならないでよ。」
「ごめんね?」
「何をしていたの?足だってこんなに冷えているじゃない。」
「んっ……。」
突然屈みこんだかと思えば、躊躇なく私の足を持って甲にちゅっと口付けを落とした彼に声が漏れる。
ちらり。
いつもは私が彼を見上げてばかりだというのに、今だけはひー君の宝石のような瞳が上目遣いでこちらを捕らえる。
「ふふっ、可愛い声出しちゃって…感じてるの?」
「違っ……あっ……。」
冷え切って感覚すら麻痺していたと思っていた足の指先が、ねっとりとした高温の粘膜に包まれた。
ひー君のお口が私の足の指を咥えている。
そう理解するのに、ほんの数秒時間を要した。
「待ってひー君汚いよ…んあっ…。」
くちゅ…そんな音を立てて、彼の口腔内に足の指が溺れていく。
いつもとは違う刺激は、少しすると快感に変わり果てて、私を襲う。
「日鞠には汚い所なんて一つもないよ。」
妖しく笑んだ彼が、見せつけるように紅い舌で私の足の裏を舐め上げた。
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