毒牙-日鞠side-

12/16

174人が本棚に入れています
本棚に追加
/142ページ
激しい律動に揺さぶられて、駆け巡る快楽に声をあげながらシーツを握りしめる。 「ん…寝る前にもやったから日鞠のここ、僕の事すぐに咥え込んじゃった。」 「あっ、あっ、あっ。」 打ち付けられる彼の腰。 身体の中にある彼の存在が愛おしい。 「んっ……。」 こうして、快感に美しい顔を歪める彼を見られるのは、私だけの特権だ。 ひー君の甘い声だって、世界で私しか知らないの。 「そろそろ僕と日鞠の子供を作りたいなぁ。」 「あっ…あっ…。」 「って、思ってたけれど、もう少しは我慢しようかな。」 暫くは僕だけが日鞠を独占していたいからね。そう言った彼が熱い欲を私の奥へと吐き出した。 「ぁあああああっ。」 「愛してるよ、僕だけの日鞠。」 いつも彼は、私の事を愛でてくれる。 痙攣して焦点の定まらない私の身体を抱き締めて、薄っすらと白み始めた窓の外を一瞥した。 「また一日。日鞠と一緒の日が増えた。幸せ。」 「ひー君…。」 「ん?」 「愛してるよ。」 「僕は数億倍愛してるよ。」 お互い額をくっつけ合って、笑みを浮かべる。 幸せ。 私だけの彼を独占できている現実が。 この屋敷に彼を閉じ込められている事が。 この上なく幸福で仕方がない。
/142ページ

最初のコメントを投稿しよう!

174人が本棚に入れています
本棚に追加