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ね?美味しいでしょう?
目を細めたひー君は、もう一口。また一口とアップルパイを食べていく。
「ありがとう日鞠。」
「ふふっ、ほっぺに付いてるよ。」
子供みたいに純真に喜ぶ彼は、酷く可愛い。
頬に手を伸ばしてパイの欠片を取って、それを自分の口に放り込む。
何だか今だけは、いつもと立場が逆転してしまったみたいだ。
「幸せ。」
「私もだよ。」
「永遠に日鞠は僕の物?」
「うん。」
だってね、もう私の全身は貴方の毒に冒されているんだもん。
ひー君なしじゃあ、どう生きれば良いのか分からないよ。
「それじゃあ来年も作ってくれる?」
「ひー君が望むなら。」
だから貴方も私から逃げないように。
私も毒をひー君に注いでいくの。ゆっくりじっくり私の毒で彼の身体を冒していくの。
「愛してるよ、僕だけの可愛い日鞠。」
永遠に、私から離れられないようにと願いを込めて…。
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