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 彼が言うには、一定量以上の悪は、連鎖し、膨れ上がり、次元を超えて禍々しい存在を呼び出す引き金になってしまうらしい。  邪神という奴か。そいつが全面戦争の類を起して、人類を滅亡させるわけか、と問う私にチコは首を振った。 「神、というような存在ではないんだ。呼び名も形もない。でも確かにそこにある――巨大な悪の気配とでも言えばいいかな。  そいつは自分のご飯として、負の感情を増やそうとする。だから人類を戦争で全滅させたりはしない。そんな事をしたら、ご飯が食べれなくなっちゃうからね。だから――」  生かさず、殺さず、人類は永遠の苦しみの中でのたうちまわる。 「だから君に、悪を減らす手伝いをして欲しい! 僕達の仲間は世界中で、これぞという人を見つけ、選ばれた者、つまり『選人』として変身させ、コツコツと悪を討伐しながら、正義の心を広めているんだ! 勿論僕達も全力でサポートをしているよ!」  ……何故、私なんだ? 「そ、それはその……」  私のストレートな質問に、チコは一瞬俯くと、申し訳なさそうな顔をした。 「事前のリサーチで、君が条件に合致したからさ。僕は詳細は知らないんだけど――君は人類に対し、危険な類の欲望をもっていなくて、正義の心を持っている。だから――」     
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