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──
「……」
翌朝、暖かい日差しで目を覚ます。軽く身体を伸ばす。しかしどうも様子がおかしい。四つん這いになって、腰を持ち上げる。しかし、こんな伸ばし方だったろうか。それにいつの間に布団の上に移ったのだろう。
すると突然地面が動いた。いや、地面ではなく布団が動いた。何度か揺れると、目の前の地平線が盛り上がった。
『重た……』
そういいながら現れたのは自分の顔だった。本来見えるはずのない角度の自分の顔が見える。はっとベッドの傍らにある窓を見ると、一匹の黒猫と目が合った。
まさか、クロと入れ替わっているとは。
(……)
一般的には驚くところだろうが、仕事疲れのせいもあってか、そんな気力もない。
(ふーん)
としか思わなかった。そのとき、目の前の”俺”が上体を起こすと
『んお? すっげ。入れ替わってる』
と言いながら、両手を握ったり開いたりを繰り返す。
(コイツは元気そうだな……)
そう思って、再び目を閉じる。しかし間髪おかずに”俺”に持ち上げられた。
(……何だ!?)
『見慣れてるけど、この視点からだと小っさくて可愛いなぁ!』
そういうと、わしゃわしゃと体中を弄ったり、上肢をもってブラブラと揺すったりしはじめる。
(何すんだコイツ)
『わー! モフモフだな! 知ってたけど!』
”俺”は満面の笑みを浮かべた。
(何が楽しいんだか……)
こちらとしては、呆れるよりなかった。
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