しがない会社員と、その飼い猫

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しがない会社員と、その飼い猫

 仕事も終わり、家に帰る。 「ただいまー」  電気を点けてそう呟くが、一人暮らしの1Kでは、返答など一つもない。しかし、ベッドの上から、こちらをじっと見つめるモノがあった。  飼い猫のクロだ。  眠気眼をこちらへ向けて「にゃー」と一声挙げると、そのまま再び眠りについた。  鞄を置き、スーツを脱ぎながら、コンビニ弁当をレンジに放りこむ。その間もクロはグッスリ眠っている。 「コイツはいいなぁ。自由で」  一緒に暮らすようになって数年経つが、こいつの自由さには憧れている。気に入らなければ見向きもせず、気分を害せばあからさまに拗ね、暇になったら気ままに飼い主へアタックする。そんな自由気ままなクロが、心底羨ましい。  軽くシャワーを浴び終わる頃には、0時を回りそうだった。疲れたので寝ようと思ったが、ベッドの真ん中はクロが陣取ってしまっている。仕方がないので、身体をギリギリ布団へ滑り込ませると 「俺も、猫に生まれてたらなあ」  と眠りについた。     
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