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「五十」
ちょうど半分だった。
俺は振り返って大婆ちゃんにも高台から見える町を見せた。
「こげな小さい町やったったいね…。結婚してからずっとこん町におるばってん。こげな小さい町とは思わんかった…」
俺はまた数えながら階段を上がる。
「大爺ちゃんが死んで、子供と一緒に生きていく為に必死になった。身体がきつくてな…。それでも必死になったとたい」
俺はどんどん階段を上る。
「へんな宗教に入った事もあった。何でも永遠の命が手に入るって言うけん…。生きたかったとよ…。自分の為じゃなくてな…、子供やお前たちのためにな…」
初めて聞いた話だった。
異常に大婆ちゃんが宗教を嫌うイメージしか俺には無かった。
それにそんな背景があった事を初めて知った。
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