輝く、朝日の中で…

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俺は暗い海を見ながらタバコを吸った。 命が終わる。 そんな事など考えずに日々を生きている。 俺はそんな大婆ちゃんにどんな言葉をかければ良いのか、まったくわからなかった。 「雅人、行くばい」 窓を開けて爺さんが言う。 俺は返事をして車に乗り込んだ。 「百段参りなんて二十年はしちょらんね…」 後部座席で大婆ちゃんが言う。 「俺ももう長い事行っとらんもん」 爺さんは田舎の細い道をゆっくりと車を走らせながら言う。 金毘羅さんは家から漁港をクルリと半周回った辺りにある。 階段の下まで車で行くことが出来るので、歩く事も無い。 「大婆ちゃんはね、あん金毘羅さんで大爺ちゃんにプロポーズばされたって言うとらしたとよ」 婆さんが身を乗り出してそう言う。 「馬鹿、そげな恥ずかしか話はせんでよか」 大婆ちゃんが声を荒げたのを聞いて皆で笑った。 漁港の湾と言っても小さな漁港で五分もあれば金毘羅さんの麓に到着した。 東の空が白くなって来ていた。
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