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俺が大婆ちゃんを背負うと、婆さんが大婆ちゃんの肩からジャンパーをかけた。
「俺と婆さんはここで待っちょくけん…」
俺は爺さんと婆さんを見て微笑んだ。
「わかった…」
背中が大婆ちゃんの体温で温かかった。
「階段の数ば数えながら登るとぞ…」
背中でそう言う大婆ちゃんの吐息が首筋に吹きかかる。
「わかっとる…。前もそげん言うとったもんね…」
大婆ちゃんはニヤリと笑った。
「覚えとったか…。よう出来た曾孫じゃな」
大婆ちゃんは旅行にでも行くような喜びようだった。
「じゃあ、行ってくるよ…」
俺は爺さんと婆さんを振り返った。
二人も微笑んで俺と大婆ちゃんを見ていた。
ゆっくりと石の階段の前に立つ。
「さあ、行くばい…」
俺は大婆ちゃんに言った。
大婆ちゃんは頷いて俺にしがみ付いた。
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