輝く、朝日の中で…

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「五」 「六」 俺は黙っている大婆ちゃんを気にしながら階段を上る。 「大正が終わって昭和になった年たいね…って言うても、昭和元年は一週間しかなかったとばってんね…」 「七」 「八」 「八歳の時、親父がひょっこり帰って来たとよ…。震災復興の後、色々な工事現場で働いて、ようさん金ば持って帰って来た。それで小さいばってん家ば建てらしたとよ…」 「九」 「九歳の時、ラジオが家に来たとよ…。あげな箱から声とか音楽の聴こえてくるが不思議で仕方なかったとよ…」 俺は何故か笑った。 「何ば笑ろうとるとか、大婆ちゃんたちの時代はそげな時代やったったい…」 「十」 まだまだすぐ近くに爺さんと婆さんは見える。 二人でニコニコを笑いながら手を振っていた。 「十一」 「十二」 「オイは十二歳から学校に通った。これからは女の子も読み書きそろばんは、出来ないかんって言われて。嬉しかったねぇ…学校に行けるって事が…」
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