輝く、朝日の中で…

16/25
前へ
/25ページ
次へ
「十三、十四、十五」 「十五歳で働きに出たとよ…。近くにあった布ば作っちょった工場たいね。少しでも稼いで、親孝行ばせんばと思って」 「十六、十七」 「十七ん時に、親父が突然、満州に行くって言い出してな…。家ば人に売って、満州に渡った。船に揺られて、船酔いばして…きつかったばい」 満州に住んでいた事は聞いていた。 十七で満州に行った事は初耳だった。 「十八、十九…二十」 「満州の暮らしは優雅なモンやったな…。軍需工場で働いとったけれども、日本人はお給金も良かったしな…。今考えるとあの頃が一番良かったかもな…」 大婆ちゃんは噛み締める様にそう言った。 「日中戦争が始まって、満州の軍需工場は忙しくなった。あとから満州に来た日本人も、休む暇なしに働いてた…」 心なしか大婆ちゃんの声が沈んで聞こえた。 「そんまま日本は世界を相手に戦争を始めたんよ…」 「二十四、二十五、二十六」
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加