輝く、朝日の中で…

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俺はゆっくりと歩を進める。 もう金毘羅さんも見えている。 手摺代わりに張られたロープを掴みながら俺は一歩一歩上がって行く。 いつも誰かのための人生を送って来た大婆ちゃん…。 それが痛いほど感じ取れた。 「七十二」 俺はそこでまた振り返る。 「この辺で俺が生まれたとよ…」 大婆ちゃんは俺を見て顔をくしゃくしゃにして笑う。 「お前が生まれた時は、初の曾孫でな…。嬉しかったなぁ…」 俺はそれを聞いてまた階段を上った。 その大婆ちゃんの笑顔には嘘偽りのない、本当の喜びの笑顔だった。
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