輝く、朝日の中で…

2/25
17人が本棚に入れています
本棚に追加
/25ページ
「来たか、ラグビー部」 爺さんはそう言うと俺の肩を力いっぱい叩いた。 その音に婆さんは目を丸くしていた。 本家の爺さんに呼び出され、俺は久しぶりに帰郷した。 博多駅から更に二時間以上かかるこの町は、時間が止まっているかの様にも思える程、昔のままだった。 「大婆ちゃんがね、金毘羅参りしたかって言うとらすとよ…」 婆さんは俺の前にお茶を出しながらそう言った。 大婆ちゃんとはひい婆さんの事で、御年百を数える。 「金毘羅参り…。あの山の上のね」 俺は窓から見える金毘羅さんを見ながら訊いた。 「ばってん、大婆ちゃん登れんやろうもん…」 「だけんが、お前ば呼んだったい」 爺さんはニコニコしながらお茶菓子を手に取った。 「流石の俺も、大婆ちゃんば背負って、あん山ば登ったら次の日立てんやろうけんな」 そう言うと大声で笑う。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!