輝く、朝日の中で…

21/25
前へ
/25ページ
次へ
「九十一、九十二、九十三、九十四…」 大婆ちゃんを背負って百段の階段を上る。 楽ではないが、何故か心は晴れ晴れとしていた。 辺りは明るくなり、足元もしっかりと見える様になってきた。 「九十五」 俺はそこで立ち止まり、また振り返った。 漁に行く漁船がポンポンと音を立てて湾を出て行く。 「大婆ちゃん…」 「何ね…」 大婆ちゃんもその海を見ている様だった。 「今も永遠の命、欲しかね…」 「いらん…。今は立派に育ったお前たちを見てると、そんなモンいらんって気持ちになっとる…」 俺は頷いて、また階段を上る。 「九十六、九十七、九十八、九十九」 「オイは、気が付いたとよ…。永遠の命って言うとは、自分が生んだ命がまた命ば生んで、その子がまた命ば生んで…。そうやって引き継がれて行く命が、永遠の命って言うっちゃなかろうかって…」 大婆ちゃん…。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加