輝く、朝日の中で…

3/25
17人が本棚に入れています
本棚に追加
/25ページ
正しい孫の活用法か…。 いや、大婆ちゃんからしてみると曾孫か…。 俺の顔は引き攣っていたに違いない。 「まあ、ちょっと階段は険しかばってん、百段ばかしやけん、お前なら軽いモンたい」 確かにラグビー部の合宿で先輩を背負って何キロも走らされたりする事もあった。 しかし、それは学生時代の話で、社会人になってもう何年も経つ俺の足腰が何処まで信用できるモノなのか、自分自身でも不安は尽きなかった。 「百段参りって言うてね、年寄りでも毎日登らす人もおらすくらいやけん、アンタなら大丈夫たい」 婆さんも無責任な事を言う。 俺がこの町を出たのは小学生の時で、それまではこの何にもない町で楽しく暮らしていた。 親父が転職するにあたって、遠縁の親戚を頼り関西に引っ越して、もう二十年近く経つ。 「近所でも、俺がおんぶして登っちゃろうって人がおらすとばってん。大婆ちゃんがね、雅人に頼めって言わすけん」 俺は渋い顔をして頷く。 確かに七十を超えた爺さんにはキツイ話だろう…。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!