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「わかったけん…、登る登る…」
俺はそう言うと立ち上がった。
「その大婆ちゃんに挨拶してくる…」
爺さんも一緒に立ち上がって奥にある大婆ちゃんの部屋の戸を開けた。
「婆ちゃん、雅人の来たばい」
爺さんは大声で大婆ちゃんに言う。
電動ベッドのリクライニングを自分で起こしながら大婆ちゃんは、
「耳は悪うなかけん、聞こえとる」
そう言った。
俺はベッドの傍まで行き、
「元気にしとったね」
と大婆ちゃんに声を掛けた。
「元気かどうかわからんばってん、まだ生きとる」
そう言うとニヤリと歯を見せて笑った。
「きつかったね…。こげん田舎まで呼んで」
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