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あれは夏の暑さもまだ残る秋、
9月の出来事だった。
自分が夏まで秘めていた彼女へのあこがれが脱皮して恋心にかわったのは。
有栖都 華音、
この女性が恋愛に不器用な僕のハートに火をつけたのだ。
「落ちたわよ、
教科書。
えっと シンタくんだっけ。
」 この時初めて彼女と会話をした。
シンタというのは僕のあだ名なわけで僕の名前は新宅 有志だ。
別に彼女の気を引こうとしてわざと教科書を落としたわけではない。
ただ視聴覚室に移動の際に彼女にみとれていたのは確かであるが。
「あっごめん。
ありがとう、
有栖都さん。
」 すると彼女は軽く微笑んで 「やだなあ、
そんなかしこまっちゃって。
クラスメイトでしょーが。
アリスでいいよ。
」 彼女の反応があまりにも気さくなので僕の緊張した気もちはどっかすっ飛んでいった。
もう二言、
三言僕は彼女に話しかけようとした。
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