西川美咲

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西川美咲

「あっ、西川さん!」 「美咲~!」  開け放たれていた廊下の窓ガラスから、吹き込んだ冷たい風に広げられた髪を押さえる。仲良さそうな二人の声に、ビクッと身をちぢこまらせて、窓を閉じようと伸ばしていた、左手を引っ込めた。  私の恋人の六条ろくじょう聖司せいじくんと、私の親友の結城ゆうき香菜かなちゃんの二人の声。二人は幼馴染同士だ。 「あっ、二人共おつかれさま~。そっちのクラスも終わったの?」  歩いてくる二人に、私は努めて笑顔を作る。 「ホームルームで、担任の話が長かったんだけど、終わったよ。まぁ、試験前だし、みんなそれどころじゃないし、――なぁ?」  そう言って、六条くんは左隣の香菜ちゃんの顔を見た。 「まっ、聖司は特に、勉強しなきゃピンチだからね~」  背の高い六条くんの隣。香菜ちゃんは、スラリとしたスタイルに形の良いボブカット。少女は猫のように悪戯っぽくて可愛らしい笑みを浮かべて、彼の視線を受け止める。 「何だよ、香菜。俺、そんなに馬鹿じゃないって。志望校決めてから、頑張ってるの知ってるだろ?」 「はいはい。美咲と同じ大学受けるんですよね。お熱いことで~」     
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