結城香菜

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結城香菜

「あっ、西川さん!」 「美咲~!」  廊下の向こうで、窓ガラスに一人手を掛けていた長い髪の少女に、聖司が声を掛ける。追いかけて、私も。  彼女は、窓ガラスから手を離すと、風に吹かれる髪を押さえた。  その仕草が、とても可愛いなって思う。私の親友の西川美咲ちゃん。  一ヶ月前から、私の幼馴染、六条聖司の恋人でもある。 「あっ、二人共おつかれさま~。そっちのクラスも終わったの?」  美咲が振り向いて微笑んだ。 「ホームルームで、担任の話が長かったんだけど、終わったよ。まぁ、試験前だし、みんなそれどころじゃないし、――なぁ?」  そう言って、聖司は、わざわざ私の意見を求めてくる。照れ隠しなのがバレバレ。  恋人同士の会話は他所(よそ)でやって欲しいものだよ。  胸の中に隠した思いにチクリと針がささる。 「まっ、聖司は特に、勉強しなきゃピンチだからね~」 「何だよ、香菜。俺、そんなに馬鹿じゃないって。志望校決めてから、頑張ってるの知ってるだろ?」 「はいはい。美咲と同じ大学受けるんですよね。お熱いことで~」     
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