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「はは。まさにそれを水落さんにお聴きしようと思っていたのに」
へえ、宝来くんとの仲を疑ってます宣言ね。まじで度胸あるなこいつ。
じゃあこっちも乗ってあげる。ここで動揺したり話題を変えたりしたら認めるも同然だからさ。
「えーそれって俺らの関係が疑われてるってこと?」
「まあ全員とは言いませんが、お二人が親しくしているのを見た場合、過半数の人間が関係を疑うんじゃないですかね? 宝来さんが男らしい方なら何とも思いませんが、女性的な美貌となれば」
「ってことは俺が宝来くんと一緒にいるだけでそう思われちゃうんだ。気を付けようっと。あ、ってことは他の綺麗な男も駄目なのかなあ。何人か知り合いいるけど」
「他にもそういった男性とお知り合いなんですね」
「でも残念ながら全員ただの知り合い。調べてみたらわかると思うけどね」
そこまで言い切ると信憑性があったのか、黒羽は口を閉ざした。
巧く嘘をつくのは真実を少し織り交ぜること。リアリティが出るから嘘くさく聞こえにくい。
悪いけど俺は心理戦、舌戦がすげえ得意なんだよ。嘘つくのも隠すのも、息をするくらい自然にやってのけられる。でなきゃ口達者な政財界の大物の口割らせられるわけないじゃん。
相手が悪かったね、黒羽さん。
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