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「ってことは今日は酒が飲めるのかよ。休みでももらえたか?」 「いやまあ、仕事が予定より早めに終わっただけ。張り込み先がこの近くでさ」 「しかし未だに信じらんねえな。おまえが刑事みてえな仕事してるとは。世も末だぜ」  笑い話のように言われたが、久保からすればそうぼやくのも無理はない。十代の学生バイトのころから水落を知っているのだから。 「えー刑事と一緒にされたくないんだけど」 「俺らからしたらどう違うのかわかんねえがな。どっちも捜査してワッパかけるんだろうが」 「俺は万引きとか捕まえないし」 「ちゃちな金は相手にしねえんだろ」 「そういうこと。デカいネタない?」 「たまにきな臭せえ話が聞こえてくることもあるが、最近は知らねえな。ドラッグ系ならそのへんに溢れてるぜ」  やはりその程度か。悪い話はそちら系ばかり。みんな頭が病んじゃってんのね。だからちょっとクスリでハイになりたいのね。束の間の現実を忘れてお花畑で蝶々を追いかけたいんだね。 「ドラッグはなあ。ちょっと俺の分野じゃないからなあ」 「おまえ自体がナチュラルハイだけどな」 「脳内麻薬出してないのに何でかなあ」 「でも大分丸くなったようにも見えるぜ。前はもっとピリピリしてたな。触れたら切れるくらいの鋭さがあったが」
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