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「そうなんだ? 俺相当やばかったんだね」 「大人になったか。随分遅せえ反抗期の終了か?」 「何に反抗してたの俺は」 「世間だろ。世の中全部を信じねえ、全員死ねと思いながら嘲笑ってたんじゃねえのか」 「そうか。それは確かに相当イカレてんね」 「そんなやつが東大入って検事? 特捜部? 最初は何の冗談かと思ったぜ」 「そんなやつが言うなら誇大妄想と思われて当然だね」 「正直な、これっぽっちも信じてなかったぜ。おまえが高校ん時か。大学自体行くわけねえだろうなって思ってたから『おまえ高校卒業したらどうすんだ?』って訊いた時『あ、俺東大行くんで』っていつもの軽い調子で言うもんだから、あーこいつまたイカレたこと言ってんなって呆れてたんだよ」  あはは、と笑う。信じられなかったのならイカレているだけだと思われても無理はない。 「ま、地頭はいいやつだとは思ってたがな。そもそも勉強してる素振りは一切ねえし、予備校だの何だのも行ってなかっただろ。で、春になって気がついたら大学生になってて、どこの大学だって訊いたら『だから東大って言ったじゃん』って言うからさ『冗談はいいからいい加減正直に言えよ。どこ大だ?』って言ったら『え? だから東大だってば』って。目が点になったよ。憶えてるか?」
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