リンケージ３

９

「それはそうでしょうね。しかし繋がっておいて損はない。いざという時に役に立つことも多いはずだ」
「そう。各方面からヒントをもらえる。例えば今回みたいな裁判だとどのくらいの求刑かな？　どんな判決出してんの？　って」
　なるほど、と黒羽は何かを探るような視線を見せた。
「というよりそもそも法曹家と通じるまでもないでしょう。ご自身が検事ですからね。一般人とはそこが違う。裁判において圧倒的に有利だ。法の目を潜ることも法の穴を見つけることもたやすい」
　あー今度はそっちつつくの。黒い噂のほう。不正とか隠蔽とか暴力団との繋がりとか。
「そうだね。でも今回の裁判でそっち方面をつついても意味ないね」
「ええわかっています。水落さんの噂はあちこちから色々お聞きしますがね、全部が全部事実ではないでしょうし。まあぶっちゃけますとね、仮にそっちで不正があったところで証拠を掴むことが不可能に近いので」
　黒羽はお手上げだというように余裕の面持ちで苦笑した。
　まだまだ切り札を持っている顔だ。
「仮に不正を掴んでも、今回の裁判と関係ないじゃん」
「言ってしまえばそうなりますね。もし裁判においてそっちを持ち出したとしても、本件と逸脱している、と意義を唱えられ、却下される可能性が高いでしょう」