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「じゃあ色々挙げてくれてるけど何がしたいの?」 「ええ、もうここらで腹を割って話していいですかね? 私も遠回しとかそれとなくとか苦手なもんで」  どうぞどうぞ。遠回しに話されたところで時間もないしね。さくっといっちゃって。 「取引をしませんか。示談に応じていただけたら、そちらに対し裁判で不都合な尋問をすることを避けると約束します」  取引。  そうきたか。汚いなんてもんじゃない。  ていうか俺相手にそんな話持ち出しちゃうんだ?  へえ、すげえじゃん。結構勇気あるんだなあ。  だってこれってつまり脅しだよね?  示談に応じないなら裁判でそっちの言われたくない話題出しちゃうよ? ってことだよね? 「えー不都合な質問って何?」 「宝来さんとの関係。過去の捜査における不正について、ですかね」 「ちょっと待ってね。不正はともかく、俺が宝来くんと怪しい関係にあるって言いたいんだね?」 「憶測の話ですよ。仮にですね、仮に。水落さんが宝来さんと恋愛関係にあったとして。まあそれはゲイですから、いくらこのご時世でもそうそう公にできるものじゃない。しかしご存じのとおり、裁判においては問いただされるでしょう。『二人はどういう関係ですか?』と」 「当然そうなるだろうね。で?」
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