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「聞いたぞ。その弁護士に手こずったせいでおまえのために大物が動いたらしいな。末恐ろしいエースだよ」
「みたいですけどね。何かそれだけ聞いたら俺が陰で暗躍して政治家どもを操ったかのようですけど全然そんなことはなくて、ただ単に特捜部に恩を売っておきたいってだけだと思いますよ」
「だがそれはおまえだから成し得たことだ。特捜部の他の誰もそんな大がかりな根回しはできない。大物を動かすほどの力や人脈はない」
それも親が政治家だったからっていうのが大きいね。いくら俺だってそれくらいのことはわきまえてるよ。
「しかし仮に裁判で大した刑がつかなかったとしても、法廷で大物政治家たちをずらっと揃えて有利な証言をさせたらそれだけで圧巻だ。おまえに報復しようとしたらここまでの人間が動くという無言の圧力を与えられる。ひいては今後の報復行為への抑止力となるだろう」
「そうなってくれるといいんですけどね」
「少なくとも宝来くんには今後被害は及ばないはずだ。そもそも彼はちゃんと犯人を撃退できている。弱そうに見えても犯人に対抗できる防衛力があるというアピールにもなった」
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