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ふわふわと飛んだ泡がぱちんと弾けて消えた。
シャボン玉みたいだと思って、いや、そんなようなものか、と納得する。
泡風呂なのだから泡まみれで当然。浴室内にシャボン玉のように泡が飛ぶのも当然。
「大変だったね水落。まさかあのパーティから復讐、暴行事件にまで発展するとは思ってもみなかったよ」
頭皮をマッサージするように長い指が快い力加減で周回する。また泡が舞った。
髪は先日切ってもらったからまだ伸びていない。なのに『ついでだから髪を洗ってあげる』という申し出を受けたため、結局いつものように風呂に入らされてしまった。
ここには証人として協力してくれるという彼の父親の星名議員に挨拶に来ただけだというのに。結局夕飯までご馳走になり、同席した星名の妹、梨紗からはまた色々詮索に遭った。どうやらまだ諦めていないようだ。やはり女は鋼の精神力を持っている。
そのままバスルームに入れられたはいいが、睡眠不足がたたって心地よさに眠りそうになる。
「あーまあね」
「この手の話も散々色んな人間に口にされて、流石にもううんざり?」
「あーその通り」
悟りきった星名の言葉にげんなりしつつ同意すると、彼は柔和な空気を纏ったまま苦笑した。
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