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「あの『ユキくん』か! ミコちゃんがよく話してた。あんなお兄さんが欲しかったとか言ってた。祐嗣じゃなくてユキくんが良かったとか言ってた、あの?」  言ってたっけ? ああ昔は言っていた気がする。今は流石にそこまでの度胸がないから思っていても言えないが。特に家を追い出されそうな今となっては、ますます祐嗣に逆らえなくなってきた。 「そうそいつ。政治家の息子とは聞いてたが、まさか自主党党首なんて大物の息子だったとはな。このままおまえが巧く動けば星名光太郎の顧問契約が取れる。はりきって枕営業行ってこい」 「何言ってんの? そういうんじゃないから! 僕もユキくん…星名さんもゲイじゃないから。再会できたから懐かしいねって会話しただけでしょ?」 「連絡先交換して会う約束までしてるんだろ。おまえを狙ってる証拠じゃねえか」 「同級生に再会したってそういう流れになるじゃないか。狙うとかゲイっていう発想に繋げるのが頭おかしい」 「実際いつもゲイに狙われて口説かれてんだろうが。男のくせに愛人契約持ちかけられたこともあったな?」 「あのガマガエルみたいにドブ臭くてきもい会社社長でしょ…。そんな狂ったこと言い出すのって変態しかいないから。星名さんはそんなことないから」
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