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「表面的な愛想がいいツラの下で、相手のことを馬鹿にしたり罵ったりするひねくれた腹黒な性格に育ってることを星名は知らないんだろうが」  ひねくれた腹黒な性格。  否定できない。  言い寄ってくる男どもを内心これでもかと罵倒している。時にこっぴどく。  でもそれは…本当に気持ち悪いからであって…セクハラに耐えているからであって…言えないから心の中だけで悪口めいたものを…愚痴のように言ってすっきりしたいだけであって…。  いや、『悪口ですっきり』が駄目だそもそも。  星名は絶対、人の悪口なんて言わない。  心の中でも人を罵ったりしない。  きっと聖人君子のような人だ。  神様みたいな人だ。 「…僕が…星名さんと親しくするに値しないってこと…?」 「それ以前に、相手がおまえに幻滅するんじゃねえの? 本性バレた時に『僕の記憶の可愛いミコちゃんはこんなに毒舌じゃなかった…』ってガッカリされる可能性が高いってことだよ」  幻滅。ガッカリされる。  ああそうだ。そうだろう。  先日再会した時は簡単な会話しかしなかった。緊張していたから余計にまともなやりとりはできなかったように思う。  つまり、しおらしく見えていたかもしれない。  見た目と子供の時のイメージ通り、『儚げな美少年のままだ』と思われたかもしれない。
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