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 まずい。  幻滅はまずい。それは嫌われるということだろう。  折角再会したのに、彼の中の『ミコちゃん』像を壊してしまったら、さぞかし星名に打撃を与えてしまうだろう。 「どうしよう…」  青ざめて項垂れていると、鳥海がフォローしてくれる。 「だ…大丈夫大丈夫。ミコちゃんってそこまで腹黒くないから。誰だってセクハラオヤジにイライラして『死ねよ触るなその出っ張った腹にこのフォークグサグサ刺してエロ毒素抜き取ってやろうか!』…くらい思うって」 「…僕が前に散々身体触ってきた会社役員のエロジジイのこと、陰でそう言っちゃってましたよね…」 「男はそれくらい思うってことだよ。ミコちゃんは別に清純派の美少女アイドルじゃないんだからさ、そこまでイメージ気にしなくて大丈夫だって」 「…でも星名さんに清純派のイメージで見られてたら、ガッカリさせちゃいますよね…」 「ガッカリどころか『こいつ大丈夫か?』って引くのが先だろ。悪く言うにしても過激過ぎだからな」  そしてフォローしてくれる鳥海に反し、祐嗣がグサグサととどめを刺してくる。 「引く、よね…」 「だからおまえは今さらその性格をどうこうできないんなら、しおらしい演技しとけってことだよ。少なくとも表向きだけでも毒を抜け。世間知らずを装え。『ボク、何も知りません、何もわかりません』と清純派処女アピールをしろ」
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