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「弁護士事務所だと、接待や飲むことが多いよね? だから今日もどこかの店を予約しようかと思ったけど、気楽に話したいし、このまま我が家で夕食をどうかなと思って」 「我が家…ご自宅に?」 「うん。父は会食があって不在だけど、母と妹がいる。昔うちで食事したこともあったよね。憶えてる?」 「ええ、憶えています。手料理をご馳走になりました。妹さん…リサちゃんでしたね。僕と同年代で一緒に遊んだ記憶があります」  懐かしい。今説明されただけで忘れかけていた思い出が突如として呼び起こされ、目の前に当時の情景が浮かんできた。  そう、家族ぐるみで交流があった。母親同士が親しかったので、互いの父親は不在ながらも、母親二人と子供たちは週に一度は食卓を囲んだり、互いの家を行き来したりしていた。 「妹が君とよくままごとをしていたよね。でも君は外でボールで遊ぶほうがいいと言って、最終的には別々に遊んでいたかな。その時に気づくべきだったね。男の子だから女の子の遊びは苦手だったんだって」 「あ…僕のことをずっと女の子だと思っていたって言ってましたね」  髪を切ってもらった日に『え、君は男の子だったの?』と星名が仰天していたのを憶えている。 「そう。だってみんな『ミコちゃん』って呼んでいたし、女の子の恰好をしていたから。髪も服装も」
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