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「知っていれば僕たち家族も何かできることがあったかもしれないのに、と悔やまれたけど、不遇を受けていなかったのなら良かったよ。今も困りごとはない? 僕にできることは力添えしてあげたいから何でも言ってほしいな」  優しい。優しすぎる。  社交辞令だったとしても、ただの幼馴染みにここまでの言葉をかけてくれるなんて。感激してしまった。 「大丈夫です。ありがとうございます。その言葉だけで、何ていうか…今までのつらかったこととかが全部吹き飛んでいくような気がして…。あの、つまり、凄く嬉しいっていうことです」  巧く説明できないでまごついていると、星名はふっと微笑んでくれた。 「そんなに堅苦しく気を遣わないでいいんだよ。昔みたいに敬語抜きで親しみを持って話してくれるほうが僕は嬉しいな」 「でも昔は子供だから許されたというか…。今は大人で、年上の方に敬語を使うのが当たり前ですし」 「仕事の関係者ならそうだろうけど。僕はもっと近い関係でいたいから」  近い関係? 「というと友達…みたいな?」 「無理にカテゴリーに当てはめなくてもいいんじゃないかな。僕はただ、昔みたいに気安い関係になりたいだけ」 「昔みたいに…」 「君は何でも僕に話してくれて、困った時は僕を頼ってくれたね。一緒に笑ったり、共感したり、そんな関係をこれからも築いていけたらいいなって思ってる」
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