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お姫様ごっことやらを強制的にやらされた記憶はある。尊は縄跳びとかドッジボールがしたかったのだが。
食卓に着き、星名の母の隣に座る美女を紹介された。妹の梨紗は美女に成長していた。彼女は尊を好奇心いっぱいに観察して、女性特有の怒涛の質問攻撃を繰り広げてくるので参った。悪意はなく好意的な意味のものだろうが、普段女っ気のない生活をしているので、たまにこうして若い女性と接触する時にどう対処したらいいものか困ってしまう。
「でも成人してもまだこんなに可愛いのね。びっくり。男の人からモテるんじゃない?」
そしてあまり触れてほしくない部分にどかどかと踏み込まれてしまう。
「そんなにでも…」
「本当にー? 今あの時みたいに女装しても普通に女の子に見えると思うわ。ねえ、お兄ちゃん?」
そこで話を振られた星名も苦笑しつつ明らかに返す言葉に困っていた。きっと同意すれば尊を傷つけると思っているのだろう。
「そうかもしれないね。でも尊くんは女の子になりたいわけじゃないだろうから」
「なりたくないの?」
「ええ。なりたくはないですね。オネエとかそっちの人じゃないので」
「ふーん。そうなのね。綺麗な男の人はみんな女になりたいのかと思っていたわ」
とんでもない偏見だ。それともお嬢様ならではの世間知らずで物を言っているだけなのか。
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