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「それはつまり水落のことだね?」
と星名が言うからには、そんな男が実在するらしい。
「そうよ。水落さんが理想的。でも全然相手にしてくれないんだもの」
「水落くんは遊び人なんじゃない? だってモテるのにまだ結婚していないっていうことは、きっと女性を何人も弄んでいるんじゃないかしら。お母さんはもっと真面目そうな人がいいと思うわ」
「水落は見た目よりずっと根が真面目でピュアなやつだよ。昔は女遊びをしたこともあるかもしれないけど、今は本命の彼女がいて真剣交際しているみたいだから」
「えーそうなの! わたし聞いてない。ああもうショック…」
どうやら梨紗には想い人がいて、しかしその相手には既に恋人がいるようだ。ガックリと項垂れて落ち込みを露にする彼女を眺めつつ、イケメンは本当に罪作りだな、としみじみ思う。
こんな美女を振るということは、きっともっとレベルの高い美女を恋人にしているのだろうけど。
それでも、もったいない話だ。尊なら梨紗に迫られたら一発OKだ。
いや、しかし美女と付き合うとなると色々気を遣って疲れてしまいそうだ。自分がそれに見合うレベルでないと劣等感も煽られそうだから高望みはやめておこう。
自分を好きになってくれるなら、そこまで美人じゃなくていい。普通でいい。
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