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待てよ。そういう相手だと梨紗以上にコンプレックスがあり、『自分より可愛い男は無理』と言いそうだ。
ああもう。世の中はまったくもって上手くいかない。
「あ、ねえミコちゃん。今弁護士事務所にいるのよね? わたしの好みの弁護士さんいないかしら?」
イケメン弁護士はいるが、ちょい悪どころか悪徳弁護士だ。到底オススメできない。
「性格の悪い弁護士ならいますけど」
「イケメン?」
「ええ、顔だけはいいです。でも女遊びをしてます」
「そうなのね…。まあイケメンはみんな遊ぶわよね。女なんて選び放題なんだろうし。弁護士ともなればモテてモテて困るくらいでしょうし」
ふう、と梨紗はため息をついている。
イケメン以前に、悪そうな男は大体遊んでいると思うのだが。そろそろ結婚を意識する歳に差しかかってきたから、ふらふら何人もの女と遊んでいる男とは付き合えないということなのだろうか。じゃあ真面目で堅実な男を探せばいいのに、それは『つまらない』のだろう。矛盾している。
「梨紗は二十代だからまだまだだけど、あなたこそ落ち着いてほしいものだわ、行晴さん」
そこで白羽の矢が立った星名がごまかすように苦笑した。
そうだ。星名こそ年齢的にそろそろ結婚してもいい歳ではないのか。
というかそもそも恋人はいるのだろうか。いないからこうして母親に小言を言われているのだろうか。
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