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「ごめんね、家族が根掘り葉掘り質問攻めして。疲れたかな?」
「いえ。久々にみんなでアットホームな会話ができてほっとしました。懐かしいし、落ち着くというか…。ああ昔もこういう感じだったな、って思い出して」
「今尊くんは山井弁護士家族と住んでいるんだよね? こんな風に何人かで食事しているの?」
「ええ。でも小父さんは今体調を悪くしていて、入院中なんです。仕事も引退している状態で…。小母さんはもっと前に亡くなっています。だから一緒に住んでいるのは僕と同じ孤児の弁護士が一人だけです。だけど食事の時は事務所で雇っている年輩の男性、三十代の男性の二人の弁護士と一緒に食べるので、わりと賑やかで楽しいです」
「ということは小父さん以外の弁護士が三人いるってこと?」
「そうです」
「で、一緒に住んでいるのは孤児の弁護士。君と同年代?」
「いえ、僕の五歳上です。さっき言った最悪の性格のやつで…」
…しまった!
愚痴りそうになって青ざめ、慌てて口を閉ざす。
星名の前で人の悪口は厳禁だったではないか。イメージダウンさせてしまう。嫌われてしまう。『ミコちゃん』像を壊してしまう。
「はは。そんなに最悪なんだ?」
だが星名は引くことなく笑って、寛大に受け入れてくれた。
何て懐の大きい人なんだろう。
愚痴や悪口は絶対に駄目だと思い込んでいた分、彼の許容範囲の広さに大きな安堵が生まれた。
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