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「ごめんなさい…。悪口なんか聞いていい気分はしないですよね…」
「誰だって職場の人間の愚痴くらい言うよ。気にしないで。僕は全然平気だから」
「でも、僕に対してイメージダウンというか…」
「そんなことでイメージダウンなんてしないよ。むしろ僕はあの時の尊くんのイメージそのままに成長していた君を見て、凄く嬉しかった。綺麗な思い出のままの君がいたから」
それは。
それはでも、顔の話で。
綺麗なのは顔だけのことで。
実は、実は僕は、性格に難が…。
「つまり、僕の容姿が女性的なままであってほしかった、ということですか?」
「やっぱりそれは嫌かな? ごめんね。正直に言わせてもらうと、今の君の容姿が可憐で、当時のイメージのままでいてくれたことに感激してしまったんだ」
星名の立場からすれば、そういうものだろう。
思い出の美少女が男らしくマッチョな姿に成長してました、というオチよりは、当時の面影を残す中性的な女顔になっていたほうがまだギャップがなくて済むはずだ。
それはわかる。それはわかるのだが…。
「僕はでも、そんな綺麗なイメージで見てもらえるほどの人間じゃないというか…普通というか…いや、ちょっと口が悪くて…口というか性格もひねくれているような…」
どさくさに紛れて『実は見た目のイメージに反して中身が悪いんです』と言わんばかりのアピールをしてしまう。
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