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「つまり、二人は当初孤児として預けられていたものの、その祐嗣さんという人が目をかけられて跡継ぎになって、君は追い出されようとしているってこと?」
「そういうことです…」
そこでしーんと場が静まり返った。懐かしい思い出話をするはずが、再会して早々シビアな現実を暴露する羽目になってしまったのだから無理もない。
だが、紛れもない事実だ。尊は星名と別れてしまったあの幼少期から、一般的な幸福とは一線を画した生き方を強いられてきた。
もちろん、山井夫妻や事務所の人間、今いがみ合っている祐嗣とだってたくさんの楽しい思い出を共有してきた。彼らと過ごしてきて苦痛だったとか嫌だったというわけじゃない。そのおかげで今、自立に踏み切れないでいるくらいだから。居心地は良かった。
しかし、本当の家族ではない。
それを祐嗣も言っていた。
彼も同様のことを感じていて、『自分たちはいずれ世話になったこの場所を巣立っていかなければならない』と思っている。あてもなくあちこちの海を彷徨う流木のような存在だと思っている。
たまたま流れ着いた場所で長く留まることもあるけれど、また荒波が来たら簡単に流されて、単身で大海に挑まなければならない。
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