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「でもそれは、仕方ないんです。僕が跡継ぎになりたくても、司法試験に通ってないから、弁護士になれないから無理というか。戦力外なんです。小さな事務所で無資格のお手伝い程度の秘書なんて必要ありませんから。雑用や庶務ならもっと安くつくバイトやパートを雇うこともできますし」
「だけど君は今も弁護士を目指しているんじゃないの?」
「何年受けても受からないので諦めかけていますが、正直、まだ頑張りたい気持ちがあります」
そこまで聴くとほっとしたように星名が息を漏らしたのがわかった。
「じゃあ君が納得いくまで頑張ったらいいと思う。むしろ人に無理やり諦めさせられるなんて、いずれきっと後悔することになるよ」
「だけど適性がないことをわかっているから祐嗣も諦めろと助言しているんだろうし…」
「諦めるのはいつでもできる。君がもうやめたいと思えばその時にやめたらいいんだよ」
「でも歳を取るごとに転職も難しくなりますし…」
「今の仕事だってちゃんと君の実績になっていると思うよ。もしそこにいられないっていうなら、うちの事務所にきてくれてもいいんだから」
え。
うちの事務所、ということは…。
「お父さんの議員事務所に、ですか?」
「そう。君は法務、しかも政治家のクライアントを多く持っていてその専門知識があるんだから、強みだよ。うちじゃなくてもよその事務所だって君のような人材を欲していると思う」
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