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「議員事務所というと…秘書のような仕事ですか?」 「色々あるよ。秘書のようなマネージメント業務はもちろんのこと、会計や事務、営業や広報の仕事もあるしね。想像しているより暇じゃないかもしれない。選挙時期は目まぐるしいほどの忙しさだけど、やりがいはあると思うよ」  何となく想像はつく。仕事で政治家や関係者と関わってきたため、そちらの情報もそれなりに得ているからだ。  話を聞いているとそこまで違和感なく仕事に従事できそうではある。  ただ、先日の土井本の件ではないが、政治家が失脚した時には失うものも大きいだろう。  一般企業においてもそのあたりのリスクは回避できない。脱税、偽装等の犯罪、商品のリコール、風評被害、情報流出、企業買収、合併…その他諸々のケースにより、どの業界も常に危機に晒されている。  公務員であっても郵政民営化のように突如として民間企業に成り代わることもある時代だし、省庁や役所の暇な部署はどんどん潰され、人員削減されている。官僚だってほとんどが定年まで勤められない。  昔は銀行や証券会社などの金融機関をはじめ、電力会社や新聞社などは倒産とは無縁の安定した業界だと思われていて、新卒の就職希望者が多かったようだ。
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