ぼっち

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 キミはちょっと恥ずかしそうに言う。  ああ、大賛成だ。僕はうん、と言ってうなずいた。キミは笑顔だ。だけど仄かに陰っているのも、僕にはわかる。  キミは強いよ、悲しみに押しつぶされそうでも、耐えてるんだ。  ちょっと回想しようか。僕はちょうど三年前だったか、突然の交通事故で死んでしまったんだ。理紗とはもう何年も付き合っていたのに。僕は死ぬ間際に朦朧としながら泣きじゃくる理紗の顔を見て、 『僕のことは忘れて幸せになって』 と言った。それしか、できなかったのが本当に悔やまれる。  理紗は自身が幸せになることが僕への供養だって気づいたのか、一年かそこらして誠也と交際を始めた。彼は事故の後、悲嘆にくれた彼女にずっと寄り添ってくれていて、その誠意を強く感じたから、僕はそれでいいと思った。彼女はそれで徐々に立ち直り始めたのだから。  だけど僕はまだ冥土に行けていない。うじうじしているわけさ。時々誠也の身体に憑依して…こうして、理紗とデートするのだ。もちろん理紗は気づいていない。  僕ら二人、観覧車の座席に並んで座って。 「綺麗だね」  少しずつ高度を上げていく観覧車の中で、ちょっとべただけれど、キミと指を絡める。その一瞬一瞬を噛み締めながら。     
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