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「そっか…、ほな、とりあえず名前付けてもええか?
剣とか鎧って呼ぶのって、なんか違和感あるし」
「ご主人様がそう仰るのであれば私は構いません。
むしろ、名を頂けるなど光栄に存じます」
「俺様も異論はねぇですぜ」
「オッケー。
ほな、とりあえずは鎧からやな…」
鎧はまず、見た目がカッコいい。
でも、中身は女の人?やからカッコいい名前にしても変やしな…。
「カッコいい」が男バージョンやったとしたら、女バージョンは「美しい」になるんかな…。
あとは、上品な感じやけど裏の顔があるみたいやからなぁ。
「殺す」とか言うし、舌打ちもしてたし…。
つまり、美しいものには棘があるってことで…。
「じゃあ、ローズってのは?
なんか薔薇的な…」
「ありがとうございます。
その名、有難く頂戴致します」
「で、次に剣やな」
剣か…。
なんか横文字でカッコいい名前が色々出てくるわ…。
うわぁ…、めっちゃ迷う…。
でも、なんか喋り方とか考えたら、カッコいい名前とキャラが合わんねんなぁ…。
どうしよっかなぁ…。
とオレが思案していると、楓香が話しかけてきた。
「ねぇ、お兄ちゃん。
この剣の名前だけど、ケンケンってどうかな?
可愛らしい名前だと思うよ」
はい!来ました。
時折、女子が見せる可愛いけりゃ何でもオッケー的な思考。
しかもドヤ顔…。
ドヤ顔でも、やっぱり楓香はかわいいよな、うん。
そして、オレは、可愛い女の子がする事なら大抵の事はオッケー的な思考で採用。
男の悲しい性である。
「って妹が言ってるから、今日からおまえ、ケンケンな」
「ちょ!
本気で言ってます…?
マスター…?」
「これからよろしくね、ケンケン!
それにローズさん!」
そう言った楓香は、何かの偉業を成し遂げた達成感に満ちたような満面の笑みであった。
それとは対照的に、ケンケンはしばらく言葉を発さなくなっていた。
剣と剣を重ねてケンケン…、なんだか剣のイメージからは遠ざかり犬のような感じになってしまっている。
駄剣とローズに罵られていた事も考えると、もう彼に対して犬のイメージしか沸いて来ない…。
恐るべき我が妹…。
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