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「うーむ…」
ドワーフの長、ヴォルテル。
彼は玉座に深く座り、腕を組みながら目を閉じている。
どうやら、アリシアの提案に対して思案を巡らせているようだ。
「少し時間を頂きたい」
彼は暫く考え込んだ後、アリシアではなく、オレに対してそう告げる。
「オレは別にかまへんけど、どれくらい待てばいい?」
「明日までには答えを出す。
それまでは、私の部下を付けよう。
せっかくこの町に来たのだ。
彼女に色々と聞きながら観光でもするがよい」
有難い申し出なんやろうけど、何か上からやなぁ…。
まぁ、いかつい見た目のドワーフがへーこらしてても逆にキモいけど。
オレたちは宮殿内にある一室に案内された。
どうやらこの町で一泊することになりそうだ。
ガウィンディの宮殿と同様に、ここもゲストが寝泊りできる専用の部屋らしい。
━コンコン━
「失礼します」
部屋に案内されてから間もなく一人の女性ドワーフが訪れた。
「はじめまして。
私は「サンドラ・ファン・ヴェルクホーヴェン」と申します。
明日まであなた方のお世話をさせて頂くことになりました」
ちっさ!
ほんで、名前、長っ!
しかも、言いにく!
明日までという短い期間ではあるが、世話になることは確かなので簡単に自己紹介も兼ねて挨拶をする。
「早速で悪いねんけど、もう昼やし腹減ったから、どっかええトコ案内してくれへん?」
「かしこまりました」
こうして、オレたちは世話役の女性ドワーフ兵と共に町に繰り出すこととなった。
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