2136人が本棚に入れています
本棚に追加
「ねぇ、ローズさん」
「はい」
「ちょっといいかな?
さっきの話なんだけど…」
食事を終えると、楓香はローズを店の端の方に連れて行き、なにやらコソコソと話をしている。
当然、オレとエミがその会話の中に入っていける雰囲気ではない。
気にはなるが、とにかくそっとしておこう。
にしても、ケンケンとカーマがいるとはいえ、エミと二人っきりか…。
どうも、昔から子供って嫌いなわけじゃないんやけど、苦手やねんなぁ。
なんか、何話してええかわからんっていうか、間が持たんっていうか…。
「なぁ、エミ」
「なに、お兄さん?」
「お姉ちゃんと先生のこと好きか?」
「うん」
「そっか…」
うお!
会話終わってもうた…。
どうしよ…。
「あとね、エミ、お兄さんの事も好き!」
「お、おう。
ありがとう」
うおおお!
なんやねん、その可愛らしい笑顔。
子供ってこんなにかわいかったんか!
てか、オレ好かれてたんや…。
いつもちょっと距離置かれてるからわからんかったわ。
でもなんか、嫌われてへんってわかった瞬間、めちゃくちゃ愛着わいてきてんねんけど!
しかも獣耳生えてるし、なんか超絶可愛らしいペットができた気分やわ!
「なぁ、エミ。
お願いがあんねんけど…」
「なに?」
「もし…やで!
もし嫌じゃなかったら耳とか尻尾触らせてくれへんかなぁ…なんて思ったりして…」
「いいよ」
エミはそう答えると、彼女が座っていた席を立ち、オレの膝の上に座る。
「じゃ、じゃあ…」
すげぇー!
めっちゃ気持ちええ、何このモフモフ感!
「なぁ、マスター…さっきから撫で過ぎじゃねぇですか…」
「そうよん、ダーリン。
そのお嬢ちゃん、狼っぽいけど、普通の女の子よん」
は!
なんか、完全に犬・猫感覚でめっちゃ撫でくり回してもうてたけど、よう考えたらそうやん!
もしかして、幼女猥褻(わいせつ)的なやつ?!
「ご!ごめん!」
「ううん、大丈夫。
エミ、前からお兄さんに、こういう風にされたかったから」
そう言うと、オレの膝の上に座っていただけのエミだったが、その腕をオレの背中に回して抱きつき、眠るように目を閉じた。
そして、何気なく、ふと顔を上げると、店の隅にあるテーブルから、鋭い目つきでオレとエミを見つめる楓香とローズが視界に入った。
最初のコメントを投稿しよう!