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「で、最後に一番気になるんはエミのことやな」
「確かにそうですね。
魔力量がとても大きいというのは、初めて会った時から知ってはいましたけど…」
アリシアは魔力量を感知することができる能力を有している。
初めてガウィンディを訪れた時からエミの魔力量の大きさを知っていたのだ。
その魔力量というのは、オレ、楓香、ローズ、ケンケンと同等で、大陸の将軍クラスに匹敵すると彼女は言っていたが…。
「なぁ、アリシアって魔力量の大きさわかるんやんな?
エミの魔力量ってホンマにオレらと同等なんか?
あの強さの感じやったら、めっちゃ凄い魔力量やと思うんやけど」
「ごめんなさい、フーガ様。
魔力量がわかると言っても、どうやら上限が決まってるみたいです。
皆さんの魔力量が大きいということはわかるんですけど、私には皆同じ大きさに感じるんです」
「そっか。
なぁ、ローズの見解ってどうなん?」
「私もアリシアと同じ考えです。
我々、魔道具は殺気と魔力量を感知することができますので。
おそらく平常時の魔力量は我々と同等でしょう」
「ん?
平常時?」
「はい。
通常、魔力を持つ生命体というものは、生命活動に支障を来たさないように体が自然と魔力量をセーブしております。
その状態での魔力量に関しては我々と同じ程度だということでございます。
先の戦いのように、エミの場合であればフェンリルが覚醒することによって、箍(たが)が外れ、魔力が解放されることがございます」
え?
そういうシステムやったん?
「で、ちなみに、その魔力量ってどれ位なん?」
「神クラスでございます。
と、申し上げても、今のご主人様にとってはわからないかもしれませんね。
それに近い対象とまだ戦ったことがございませんので…。
そうですね…魔神様ほどではないですが…と言ったところでしょうか」
ガチ神クラスかよ!
これからエミ様って呼んだ方がええんか?
え、でもなんか今更やしな…。
てか、本人自覚なさそうやし、えっか。
「お、おう…。
てか、エミ、調子はどう?
平気か?」
「うん、大丈夫」
「そっか。
なぁ、あん時どんな感じやったん?」
「お兄さんがが痛そうにしてるのを見て、エミ、あいつらが許せないって思ったの。
そしたら頭の中で、誰かが話しかけてきたの」
「誰かって、誰?」
「おそらく声の主はエミに宿っているフェンリルでしょう」
「よくわからない。
その人の名前知らないから。
それでね、「力が欲しいか?」って聞かれたから「うん」って答えたの。
そしたらね、なんだか凄い力が体に流れ込んできたように思って…あいつらを倒そうと思ったの。
でも、気付いたら荷馬車の中で寝てたみたいで、お兄さんに起こされたの」
「そっか。
エミ、こっちにおいで」
なぜ呼ばれたのかわかっていないエミはとりあえずはオレの膝の上に座った。
そんな彼女の頭をオレは何度も撫でてやった。
「エミ、ありがとうな」
「でも、エミは何もしてないよ」
「そんなことないよ。
エミがオレの為に怒ってくれたおかげで、オレらこうして無事でいられるんやから」
「よくわからないけど、エミもお兄さんが無事で良かった」
オレの膝の上で甘えるエミ。
大きな尻尾はぶんぶんと左右に揺れていた。
その様子を楓香、ローズ、アリシアが羨ましいといった表情で見ているようにオレには思えた。
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