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「なぁ、ローズ。
ローズって、ひょっとしてエミがフェンリルなん知ってたん?」
「フェンリルかどうか?まではわかりませんでしたが、何かしらの存在を宿している可能性については初めて出会った時から考えておりました」
「やっぱ、そうなんや。
なんか、エミに対してちょいちょい気になる節の行動とか発言があったから聞いてみてんけど。
教えてくれたら良かったのに」
「申し訳ございません。
ですが、確信が持てませんでしたから」
「まぁ、確かに。
あのチビっ子魔神もそこまでは気付いてなかったみたいやし、無理もないか…。
そんなことよりも、フェンリルが宿ってるってことはわかってんけど、エミになんか影響とかあるん?」
「おそらく。
一度覚醒してしまっておりますので、今後フェンリルが表に出てくるケースが増える可能性が高いと思われます。」
「アレがちょいちょい出てくる事になるんか…。
めっさ強いもんな、ちょっとビビるよな」
「えっと…、ローズさん。
笑美ちゃんの人格ってどうなるの?」
心配そうな顔で楓香がローズに質問をする。
「私も詳しくはわかり兼ねますが、獣人の状態では宿主が優先されるようです。
ですが、逆に、フェンリルが本来の姿になっている時は、幻獣の人格が優先されるかと思われます。
どちらの状態に於いても、エミの記憶とフェンリルの記憶は共有されることになるらしいです。
そして、いずれは1つの人格を形成していくことになるかと…」
「てことは、アレか。
とりあえず、今んところは、変身してる時は別人って感じか?」
「申し訳ございませんが、そこまでの事は私にはわかりません。
先ほど申し上げたのも、伝え聞いている話でございますので…。
ですが、記憶は共有されているようですので、エミの性格が少なからず影響してくるでしょう。
また、今回のようにどちらかが眠ってしまったり、意識がない場合を除いては、宿主と幻獣は会話ができると聞いております」
「でも、それって、逆に普段の笑美ちゃんの状態でも、フェンリルの性格が影響してくるってことだよね?」
「マジか。
もし、そうやったら、フェンリルに嫌われるようなことになったら、エミからも嫌われるってことか?」
「フフフ…。
何も心配せずとも大丈夫じゃ。
我もエミも主の事が大好きじゃぞ」
オレの膝の上にいたエミがそう言ったかと思うと、突然唇を奪われてしまった。
そして、彼女の顔を見るとすでに深い眠りについていた。
「えっと…。
今のって…フェンリル…やんな…」
突然の出来事に唖然としてしまうオレ。
てか、まだ10歳くらいの少女とキスすることになるとは、夢にも思ってなかったわ…。
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