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やっぱり、そういう事やったんやな。
楽譜スタンドのような物の上に召喚書を置くと、大広間の中心に魔方陣が浮かび上がってきた。
そして、10匹のゴブリンが現れたのだ。
だが、それは決して話で聞いている召喚ではない。
やつらは明らかにオレたちに対して敵意を持っていた。
オレたちの姿を見つけるや否や襲い掛かってきたのだ。
だが、所詮はゴブリン。
今のオレにとって敵ではない。
一瞬で奴らを葬り去る。
すると、床に浮かび上がっていた魔方陣も消えてしまった。
「どう?
面白いでしょ?」
「また突然現れたな、チビっ子」
「いつも思うけど、私のこと、そんな邪険に扱わなくてもいいんじゃない?
これでもフーガと楓香ちゃんの事、いつも気にしてるんだよ。
って!
別に気にしてるって言っても、異性としてアンタの事が気になるとかじゃないんだからね!」
「はいはい、わかったわかった。
にしても、お前のキャラ、ブレブレのようで、芯の部分はブレへんよな…。
てかさ、これってアレか?
ここで修行しろってことなんやろうけど、それって、色んなモンスター召喚して効率よくポイント稼げるってことやんな?」
「そうよ。
私って優しいでしょ?
ひょっとして惚れちゃった?」
「まぁ、突然オレたちをこの世界に召喚した事と、ガーゴイルの件は別として基本的にオレらに対して優しいよな。
実は結構感謝してんねん。
なんやかんや言ってるけど、オレ、結構お前の事好きやで、おもろいし」
「ちょ!
バカ!
アンタ、突然何言ってんのよ!
調子狂っちゃうわねぇ~…」
顔を真っ赤にしながら、あからさまに照れるチビっ子。
ツンデレ口調や仕草はネタだと思っていたが、どうやら本当にオレの事が好きなのかもしれない…。
「てか、あそこに召喚書置かなアカンとか、わかりにくいわ」
「ちょっとは謎解きみたいなのが、あってもいいかな?って思ったのよ。
センスないわねぇ」
お前の言うセンスって、どういうセンスやねんな…。
「それはそうと…。
ポイント稼ぐには有難いんやけど、ここはやっぱオレだけでええんちゃうか?
まぁ、楓香やったら一緒に居ても問題ないとは思うけど」
「そうですよね、足手まといですよね、私たち…」
オレの言葉に凹むアリシア。
だが、実際にアリシアとラルフの戦闘力はオレたちに比べて断然低いのは事実である。
それに、エミもフェンリルが覚醒している状態であれば、オレたちよりも強いのだが、普段は普通の獣人の子供である。
彼らには別行動を取ってもらうことにするか…。
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