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「じゃ、とりあえず、この小屋の周りがどうなってんのか?様子でも見てみるか…」
「おっと兄ちゃん!
その前に鎧の装備忘れてるぜ」
「あっ、忘れてたわ。
でも、鎧なんて着たことないし。
なんか装着するの面倒臭そうやし、重そうやし、暑そうやし…。
無くても良くね?」
「良くはございません。
ご主人様をお守りするよう我々は、あのお方から言われております。
ちなみに、私(わたくし)には、今ご主人様が仰られたような懸念材料は一切ございませんので、ご安心下さい」
またしても、どこからともなく聞こえてくる声。
空を飛び回る剣とは対照的に、今度は上品で落ち着いた女性の声である。
この会話の流れや状況から考えて、話をしているのは、あのカッコいい黒の鎧であろう。
「いや…、そう言われましても…。
ちなみに、どうやって装備するんですか?」
「私に触れて「インストール」と仰って頂くだけで結構でございます」
え、マジで?
何、その超便利機能…。
オレは騙されたと思い、黒い鎧に言われた通りにやってみる。
すると、瞬く間にの体に鎧が装着された。
しかも、重さはほとんど感じない上、どういう仕組みなのか?はわからないが通気性もある。
「すげぇ!」
オレは単純に率直な感想を声にしていた。
「お気に召されたようで光栄です」
驚きの感情を露わにしているオレに対し、至って冷静な口調で喋る鎧。
だが、その声から感じ取ることができるのは、オレを見下している感じではない。
その事がさも当然のことであるような印象である。
「これで、とりあえずは外に行く準備ができたみたいやな。
楓香もオレと一緒に、ちょっと外の様子見に行くか?」
「うん…。
でも外にはモンスターがいるんだよね…。
ちょっと怖いよ…。
あ、でも…お兄ちゃんと一緒なら大丈夫かも…」
ああ…、ヤバイ、可愛すぎる、萌える…。
なんで実の妹なんやろ…などと思いつつ、オレたちは小屋を出ることにした。
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