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11 帰還
リベラの街が消滅したのを確認した後、オレたちはガウィンディに戻った。
「あ~、マジで疲れた…」
宮殿の風呂の中でオレは呟く。
時刻は午後11時半。
もうすぐ日付が変わろうとしていた。
リベラからガウィンディまではかなりの距離があるのだが、オレたちは途中で休憩も入れずに戻ってきた。
それは、一刻も早くアリシアたちに報告をしたい、と思ったからなのだが、少し無茶をし過ぎたようだ。
湯船に浸かりながら、しみじみと疲れたと言っているオレだが、実は特に何もしていない。
ただ単に、長距離を移動したから疲れただけである。
何もしていないと言ったが、強いて言うのであれば、帰り道の森に入ってからオレたちを襲ってきたゴブリン達を返り討ちにしたことくらいである。
だが、今のオレにとってゴブリン退治などはお茶の子さいさいであり、結果、特に苦労することなく、獲得ポイントは39となった。
てか、よう考えてみたら、昼にゴブリン達と出くわしたことあらへんよな?
てことは、あいつらって夜行性なんか?
それはさておき、本当に疲れていたのは楓香の方である。
防御魔法に加え、あれだけの攻撃魔法を使った影響でかなり疲れていたようで、荷馬車の中ではずっと眠っていた。
カーマによると、一般的に魔法というのは、魔力量を消費するだけではなく、集中力やイメージが重要になってくるため、発動後に襲ってくる精神的な疲労というのは、かなりのものだそうだ。
それに加え、楓香の場合は魔杖特有の「想い」も注力しなければならないので、その疲労感は凄いものなのであろう。
ただ、幸いな点は、妹には天性の魔法制御の素質があるらしく、その部分での疲労というのはほとんどないそうだ。
ガウィンディに到着すると、夜中にも関わらず、アリシアとエミ、そして近衛のエルフ4名が入口の門で出迎えてくれた。
彼女たちには、オレたちが帰ってきている事がわかっていた。
アリシアは魔力量を検知できる能力を有しており、エミに関しては、獣人としての嗅覚が備わっているからである。
町に到着し荷馬車を止めると、荷台の中で泥のように眠っている楓香を見て、エミたちはとても心配していた。
だが、特に問題はないという事をオレが告げると、彼女たちは胸を撫で下ろす。
オレはリベラでの一件を早く報告をしたいと思い、休憩もせずにここまで戻って来たのだが、実際町に到着した時にはかなり疲れていた。
時間も時間だった事もあり、オレは結果だけを伝え、詳しい経緯や内容については明日説明する、と彼女たちに告げ、今に至る。
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