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7 エルフの町
森の中を進んでいくと開けた場所があり、そこにはエルフの町があった。
町の前には境界線のように川が流れており、オレたちが今まで進んできた道はその橋へと続いている。
う~ん、どうしよっかなぁ…。
このままフード被ったまま荷馬車で、しれっと町の中に入るべきかな…。
でも、バレたらめんどいしなぁ。
「なぁ、ローズ。
魔人とエルフの関係ってどうなん?
人間と魔人は昔から敵対関係にあるとか言ってたけど…」
「そうですね…こちらから危害を加えなければ問題ないと思われます。
仮に相手側から攻撃してくるのであれば、返り討ちにして制圧すればよろしいかと。
この程度の規模の町なら容易いはずです…」
「ホンマに?
大丈夫?
てか、絶対こっちから手出さんとってや、頼むから」
とりあえずはローズの言葉を信じ、フードを外す。
黒髪を晒すことにより、一目で魔人とわかる状態ではあるが、何事もないように自然と荷馬車を橋まで進める。
「おい!止まれ!」
荷馬車の前に門番らしきエルフの男達が数名立ちはだかる。
入口の門の上にも弓を構えたエルフが数名。
オレたちは彼らの指示に従い、荷馬車から降りた。
もしもの時の事を考えてオレは右手をブレスレットに当てたままにしている。
「魔人がエルフの町に何の用件だ?
場合によっては…」
「そこのあなた。
私のご主人様に対して口の効き方がなっていませんね」
エルフの言葉を遮るようにローズが口を開く。
あ~またや~…。
なんか嫌な予感しかせーへんねんけど…。
「なんだと?
何様のつもりだ、おまえたち!」
「フッ…たまには駄剣も役に立ちますね…。
………
そんなに敵意を向けられてはお仲間の命が無くなりますよ」
そう言うとローズは門の上に視線を向ける。
そこには弓兵たちに剣先を向けているケンケンの姿があった。
「!!!
…魔剣…だと…」
戦闘態勢に入っていたエルフたちから焦りの色が見えた瞬間であった。
「少しはお分かり頂けたでしょうか?
あなたのような雑魚とは、話をするだけ時間の無駄です。
………
ここの長を呼んできなさい。
「生き血を啜(すす)る闇の魔剣」
「魂を喰らう死の鎧」
その主が来たと伝えなさい」
「…は…はい!直ちに!」
門番をしていたエルフの男は態度を一変。
一目散に町の中へと走って行った。
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