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9 作戦
「本題というのは、これからどのようにして人間と戦うか、という件についてです」
話を進めるのはアリシアであった。
軍事に関する話なので、先程までの会話の流れから考えても、てっきりリースベットが進行するのかと思っていたが、予想外である。
「まぁ、そうやろうな。
昨日リースベットたちと約束したし」
そうやねんな。
昨日リースベットたちと約束してから一人で考えてたけど、結局なかなか良い案が浮かばんかったんよな…。
「まずは戦力についての把握です。
フーガ様という最強の戦力がいてくれるのは、とても心強いのですが、戦闘員の数が圧倒的に少ないのが現状です。
私たちエルフの中で精鋭部隊と互角に戦えるのは、ここにいる4人くらいだと思います。
それに一般兵が約50名。
これがガウィンディの総戦力です」
「なるほどね…。
ちなみに人間側の戦力は?」
「首都に限って言えば5,000名程だと考えています。
ただ、地方からの援軍などを考えた場合、個の戦力は度外視するとしても、その総数は10,000ほどになるかと…」
「一万!?
マジか?!
そら正攻法じゃ無理やな…」
「そうなんです。
先程の話を聞くまでは、フーガ様に強力な範囲攻撃魔法を撃って頂くであるとか、大陸にいる西側の魔人を数名でいいので援軍として送り込んで頂こうかと考えていたのですが…」
「あ…なんか悪ぃな…。
役に立てんくて…」
「いえ、そんなつもりで言ったのではありません。
こちらこそ、ごめんなさい」
「ま、それはええとして…。
要はもう奇襲しかないってことやろ?
でも、どうすればオレらの勝ちになるかやな。
王様討ち取るとかか?」
「王を討ち取っても効果は薄いと思います。
それならまだ実権を握っている宰相を討ち取る方が良いかとは思いますが…」
アリシアの言葉には先があるようだ。
推測するに、仮に宰相を討ち取ったとしても、軍部が動きを止めることはないということだろう。
特に私利私欲で動いている連中だ。
国に対する忠誠心などはないだろう。
むしろ、ここぞとばかりに名を挙げようとオレに向かってくる可能性が高い。
つまり、オレたちが勝利するには、圧倒的な力を見せつけ相手の戦意を喪失させて敗走もしくは降伏させる必要がある。
…或いは王国の人間を全て滅ぼすしかないということか…。
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